夜の匂い





暗闇に蕩けた私が

静まる、夜の中を漂っている

夜の匂いがする


ちかちか光る信号機

ブラインドから覗く月のあかり

電化製品の瞬き

秒針の刻む音


とりとめのない影かたちと

夜の中でひとつになる



ぼやり、輪郭が波を打って

夜の中へ波及していく

私は世界の中へほどけて、蕩けて

どこか遠く、波及していく

とりとめもなく、夜の中を漂って

あの、その、この、光と一緒になる

かも



陽が昇って、いきものの声が聞こえるまで

私のなかに、とりとめのないものの中に

漂い続ける



2023.3.20「夜の匂い」ー駒優梨香

テキストをうたにするまで《夜の匂い》

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